株式会社の発起人と機関設計


【1】株式会社の発起人とは?


【発起人とは】

 

会社法上、発起人と呼ばれるのは、会社設立の企画者として定款に署名した者のことをいいます。

 

株式会社を設立する場合、従来は最低7人必要でしたが、平成2年の商法改正により、1人以上であれば何人でもよいことになりました。

 

したがって、発起人1人で会社を設立することができます。

 

【発起人の資格】

 

発起人の資格には制限がないので、他の法律で制限がない限り、自然人でも法人でもなることができます。

 

1人以上で上限はなく、未成年者でもなれますが、未成年者の場合は法定代理人の同意が必要です。

 

ただし、15歳未満は印鑑登録できないのでなれません。

 

【発起設立とは?】

 

気心が知れた仲間が集まり、設立時に発行する株式を1人以上の発起人で全て引き受ける方法です。

 

発起人は1人でも会社を設立できます。

 

平成3年4月1日施行の商法改正により、発起設立時の検査役の調査が不要となったので、こちらの方が主流となってます。

 

【募集設立とは?】

 

発起人以外の者に株式の一部を引き受けてもらう方法です。

 

一般募集=株式を一般から募集する方法です。

 

縁故募集=特定の関係者に働きかけて募集する方法です。

 

設立手続が発起設立より複雑ですが、広く出資者を募ることができます。

 

【株式の引受け】

 

発起人は、会社が設立に際して発行する株式を、必ず1株以上引き受けなければなりません。


【2】機関設計の決め方は?


株式会社は、定款に定めることによって、取締役会、会計参与、監査役、監査役会、会計監査人又は委員会を置くことができます(会社法326)。

 

株式会社を設立する場合は、公開会社又は大会社に該当するかどうかの区分に応じて、株主総会以外の機関として(株主総会は必ず設置しなければなりません)次の機関設計のいずれかを採用することができます。

 

(1)公開会社でない大会社以外の会社

 

1.取締役⇒従来の有限会社型

 

2.取締役+監査役(監査の範囲を会計に関するものに限定することもできる)

 

3.取締役+監査役+会計監査人

 

4.取締役会+会計参与

 

5.取締役会+監査役(監査の範囲を会計に関するものに限定することもできる)⇒従来の株式会社型

 

6.取締役会+監査役+監査役会

 

7.取締役会+監査役+会計監査人

 

8.取締役会+監査役+監査役会+会計監査人

 

9.取締役会+委員会+会計監査人

 

(2)公開会社である大会社以外の会社

 

1.取締役会+監査役

 

2.取締役会+監査役+監査役会

 

3.取締役会+監査役+会計監査人

 

4.取締役会+監査役+監査役会+会計監査人

 

5.取締役会+委員会+会計監査人

 

(3)公開会社でない大会社

 

1.取締役+監査役+会計監査人

 

2.取締役会+監査役+会計監査人

 

3.取締役会+監査役+監査役会+会計監査人

 

4.取締役会+委員会+会計監査人

 

(4)公開会社である大会社

 

1.取締役会+監査役+監査役会+会計監査人

 

2.取締役会+委員会+会計監査人

 

★更に、会計参与を設置した場合の19パターンがありますので、合計39パターンの機関設計の中から1つを選択することになります。