【4】産業廃棄物処理業許可Q&A


  産業廃棄物Q&A

 

Q1

廃棄物とは?

 

A1

国の通知や裁判判例によると、廃棄物とは「占有者が自ら利用し、又は他人に有償で売却することができないために不要になった物」をいい、廃棄物に該当するかどうかは「その物の性状、排出状況、通常の取り扱い形態、取引価値の有無及び占有者の意思等を総合的に勘案して判断するできものであること」と定義されています。

 

ほとんどの廃棄物は、廃棄物処理法により所管され、この法律では、「ごみ、粗大ごみ、燃え殻、汚泥、ふん尿、廃油、廃酸、廃アルカリ、動物の死体その他の汚物又は不要物であって、固形又は液状のもの」と定義されています。

 

つまり、「自分で利用することもできず、他人に売ることもできないような不要物」のことです。なお、「固形状又は液状」とされているので「気体」は除かれます。

 

放射性廃棄物のように特別な法律の定めがあるものは、その法律の適用を受けます。

 

例1)放射性物質及びこれによって汚染されたもの

例2)港湾、河川のしゅんせつに伴って生じる土砂、その他これに類するもの

例3)漁業活動に伴って魚網にかかった水産動植物等であって、当該漁業活動を行った現場付近において排出したもの

例4)土砂及びもっぱら土地造成の目的となる土砂に準ずるもの

 

Q2産業廃棄物とは

 

A2

産業廃棄物とは、事業活動に伴って生じた廃棄物のうち、「燃え殻、汚泥、廃油、廃酸、廃アルカリ、廃プラスチック類」の法律(廃棄物の処理及び清掃に関する法律)で直接定められた6種類と、政令で定めた14種類の計20種類のことをいいます。

 

産業廃棄物以外の廃棄物は一般廃棄物(家庭で発生する廃棄物)となります。ただし、廃棄物によっては事業活動の内容が限定されているものがあるので、事業活動を伴って生じても産業廃棄物にならない場合があります。

 

また、産業廃棄物を処理するときは、必ずこの20種類のいずれか、若しくは混合物として排出しなければなりません。

 

※「事業活動」=工業や農林水産業などの生産業の他、製造業、建設業、商業、飲食業、運輸業なども含まれ、公共事業や非営利事業も含まれます。

 

Q3

特別管理産業廃棄物とは?

 

A3

産業廃棄物のうち、爆発性、毒性、感染性、その他人の健康又は生活環境に係る被害を生ずるおそれがある性状を有するもので、政令で定めるものを特別管理産業廃棄物といいます。

 

特別管理産業廃棄物は、通常の産業廃棄物と比較して、排出から処分までの課程でより一層厳密な管理が必要となります。

 

Q4

廃棄物の分類は?

 

A4

廃棄物(廃棄物の処理及び清掃に関する法律の対象であるいらなくなったもの)

 

 ⇒事業活動に伴って排出された廃棄物 → 産業廃棄物 → 特別管理産業廃棄物

 

 ⇒一般家庭から排出された廃棄物 → 一般廃棄物 → 「事業系一般廃棄物・ 家庭廃棄物・ 特別管理一般廃棄物」

 

※このほか、指定有害廃棄物(硫酸ピッチ)については特別な規定があります。

 

Q5

産業廃棄物の種類と具体的な例は?

 

A5

(1)燃え殻 事業活動に伴い生ずる石灰がら、灰かす、焼却残灰、炉清掃排出物など。 活性炭、焼却炉の残灰などの各種焼却かす

 

(2)汚泥 工場廃水等の処理後に残る泥状のもの及び各種製造業の製造工程において生ずる泥状のもので、有機性及び無機性のすべてのもの 排水処理の汚泥、建設汚泥などの各種泥状物

 

(3)廃油 鉱物性油及び動植物性油脂に係るすべての廃油 グリス(潤滑油)、大豆油など、鉱物性動植物性を問わず、すべての廃油

 

(4)廃酸 廃硫酸、廃塩酸、有期廃酸類をはじめとするすべての酸性廃液。中和処理した場合に生ずる沈殿物は汚泥として取り扱う。 廃写真定着液など、有機性無機性を問わず、すべての酸性廃液

 

(5)廃アルカリ 廃ソーダ液をはじめとするすべてのアルカリ性廃液。中和処理した場合に生ずる沈殿物は汚泥として取り扱う。 廃写真現像液、廃金属石鹸液など、有機性無機性を問わず、すべてのアルカリ性廃液

 

(6)廃プラスチック類 合成高分子系化合物に係る固形状及び液状のすべての廃プラスチック類。 発泡スチロールくず、合成繊維くずなど、固形液状を問わず、すべての合成高分子系化合物(合成ゴムを含む)

 

(7)ゴムくず 天然ゴムくず(合成ゴムは廃プラスチック類) 天然ゴムくず(合成ゴムは廃プラスチック類)

 

(8)金属くず 鉄くず、アルミくずなど、不要となった金属(金属の研磨くず、切削くずなど)

 

(9)ガラスくず、コンクリートくず及び陶磁器くず ①ガラスくず、②コンクリートくず、③陶磁器くず 板ガラス、耐火レンガくず、石膏ボードなど、コンクリート製品製造工程からのコンクリートくずなど

 

(10)鉱さい 鋳物砂、サンドブラストの廃砂、不良石炭、各種溶鉱炉かすなど

 

(11)がれき類 工作物の新築、改築又は除去に伴って生じた各種廃材(もっぱら土地造成の目的となる土砂に準じたものを除く) 工作物の新築、改築、除去に伴って生じたコンクリートの破片、レンガの破片など

 

(12)ばいじん 大気汚染防止法第2条第2項に規定するばい煙発生施設又は汚泥、廃油、廃酸、廃アルカリ、廃プラスチック類、産業廃棄物である紙くず(PCBが塗布され、又は染み込んだもの)、木くず(PCBが染み込んだもの)、繊維くず(PCBが染み込んだもの)若しくは金属くず(PCBが付着し、又は封入されたもの)の焼却施設において発生するばいじんであって、集じん施設によって集められたもの。 大気汚染防止法のばい煙発生施設、又は産業廃棄物焼却施設の集じん施設によって集められたもばいじん

 

(13)紙くず ①建設業に係るもの(工作物の新築、改築又は除去に伴って生じたものに限る)②パルプ、紙、紙加工品製造業、新聞業(新聞巻取紙を使用して印刷発行を行うものに限る)に係るもの③出版業(出版印刷を行うものに限る)に係るもの④製本業及び印刷物加工業に係るもの⑤PCBが塗布され、又は染み込んだもの 以下の業種からの紙くずに限る

→建設業(工作物の新築、改築又は除去に伴って生じたもの)、パルプ製造業、製紙業、紙加工品製造業、新聞業、出版業、製本業、及び印刷物加工業

(注)これ以外の業種から発生する、不要な書類やコピー用紙などは、事業系一般廃棄物

 

(14)木くず ①建設業に係るもの(工作物の新築、改築又は除去に伴って生じたものに限る)②木材又は木製品製造業(家具の製造業を含む)に係るもの③パルプ製造業、輸入木材の卸売業に係るもの④PCBが染み込んだもの 以下の業種からの木くず、おがくず、バーク類などに限る

→建設業(工作物の新築、改築又は除去に伴って生じたもの)、木材又は木製品製造業(家具製品製造業)、パルプ製造業、輸入木材卸売業

(注)これ以外の業種から発生する、パレットや梱包材などは、事業系一般廃棄物

 

(15)繊維くず ①建設業に係るもの(工作物の新築、改築又は除去に伴って生じたものに限る)②繊維工業(衣服その他の繊維製品製造業を除く)に係る天然繊維くず(合成繊維は廃プラスチック類)③PCBが染み込んだもの 以下の業種からの天然繊維くずに限る

→建設業(工作物の新築、改築又は除去に伴って生じたもの)、衣服その他繊維製品製造業以外の繊維工業

(注)これ以外の業種から発生する、不要な衣類やウエスなどは、事業系一般廃棄物

 

(16)動物系固形不要物 と畜場においてとさつし、又は解体した獣畜及び食鳥処理場において食鳥処理した食鳥に係る固形状の不要物 と畜場で解体等をした獣畜や、食鳥処理場で食鳥処理した食鳥に係る固形状の不要物

 

(17)動植物性残さ 食料品製造業、医薬品製造業又は香料製造業において原料として使用した動物又は植物に係る固形状の不要物(魚市場、飲食店等から排出される動植物性残さ又は厨芥類は事業活動によって生じた一般廃棄物) 食料品製造業、医薬品製造業、香料製造業で原料として使用した動物や植物に係る不要物

魚や獣のあら、醸造かす、発酵かすなど

 

(18)動物のふん尿 畜産農業に係る事業活動に伴って生ずる動物のふん尿 畜産農業から排出される牛、馬、綿羊、にわとりなどのふん尿

 

(19)動物の死体 畜産農業に係る事業活動に伴って生ずる動物の死体 畜産農業から排出される牛、馬、綿羊、にわとりなどの死体

 

(20)汚泥のコンクリート固形化物など、(1)~(19)の産業廃棄物を処理するために処理したもの 有害汚泥のコンクリート固形物、焼却灰の溶融固形物

 

Q6

各種リサイクル法の対象となるもの

 

A6

【特定家庭用機器再商品化法~家電リサイクル法~】

 

 ⇒冷蔵庫、テレビ、洗濯機、エアコン

 

【資源の有効な利用の促進に関する法律~資源有効利用促進法~】

 

 ⇒指定再資源化製品(パソコン、小型二次電池)

 ※メーカー等による使用済み製品の自主回収・再資源化を求める製品

 

【建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律~建設リサイクル法~】

 

 ⇒コンクリート塊(金属くず混じりを含む)、アスファルト・コンクリート、木くず

 ※土木建築に関する工事に使用する資材に限る

 

【使用済自動車の再資源化等に関する法律~自動車リサイクル法~】

 

 ⇒廃自動車、クーラー

 

Q7 

住宅を改築するため建設業者が解体したときに出る廃棄物は?

 

A7 

住宅を解体するときに発生する廃棄物はしばしば「建設廃材」と呼ばれます。これも産業廃棄物です。産業廃棄物の中でも占める割合が高く、残念ながら不法投棄されるものの中で一番多いのがこの建築廃材です。

 

Q8 

ディーラーに引き取ってもらった後に、スクラップになった車は?

 

A8 

廃車された車は通常、解体業者によって解体され、再利用できるものが取り出されたりしたあとに破砕されます。破砕したものから金属などを回収したあとに残るのが「シュレッダーダスト」と呼ばれる産業廃棄物です。これは現在は最終処分場に埋立処分されています。

 

Q9 

病院などで使用された後の、使い捨ての注射器や点滴チューブは?

 

A9 

使用済みの注射器や点滴のチューブも産業廃棄物になります。このうち感染性の病原体が付いていたり、そのおそれがあるものは感染性廃棄物と呼ばれます。感染の可能性をなくすために通常は焼却処理されています。

 

Q10 

下水を処理した後に残る泥状の物は?

 

A10 

各家庭から出た下水は下水処理場で処理され浄化されます。その際に発生するのが下水処理汚泥です。これも産業廃棄物になります。ちなみに、浄化槽の処理汚泥は一般廃棄物になります。

 

Q11 

オフィスでいらなくなった蛍光管は?

 

A11 

事務所でいらなくなった蛍光管や電気製品なども産業廃棄物です。事務所にあるので産業廃棄物になりますが、蛍光管自体は家庭にあるものと同じです。

 

Q12 

産業廃棄物って何ですか?事業系一般廃棄物との違いは?

 

A12 

事業活動に伴って生じた廃棄物であって、法律の中で20種類が定められています。

産業廃棄物の中には、「○○の事業に伴って生じたものに限る」という標記のある品目がいくつかあります。木くずや紙くずなどがこれに該当します。これらのものはたとえ事業活動に伴って生じたものであっても、特定の事業活動に伴ったものでなければ産業廃棄物の分類に該当しないのです。こうしたものがいわゆる事業系一般廃棄物です。

 

Q13 

産業廃棄物の処理(運搬又は処分)を委託したいのですが、誰にお願いすればよいのですか?

 

A13 

他人が出した産業廃棄物を運んだり、破砕や焼却といった処分をするには、それぞれ産業廃棄物収集運搬業、産業廃棄物処分業の許可が必要です。よって、これらの許可を取得している業者に委託してください。

 

Q14 

運搬業者と処分業者それぞれと契約するように言われました。今は出入り運搬業者の知り合いの処分業者に持って行ってもらっています。そのため、契約は運搬業者と処分費も含めて行っています。一括ということで他の業者に比べて割安なので助かっているのですが、これでは問題があるのですか?

 

A14 

委託契約違反になります。運搬業者とはどこからどこまで廃棄物を運搬してもらうかを、処分業者とは廃棄物をどういう処理をしてもらうかを、それぞれ契約しなければなりません。処理費用にしても、運搬業者には運搬費用だけを支払えばよいわけですし、処分業者には処分費用だけを支払えばよいのです。

 質問のような契約の状況では、運搬費用がいくらなのか、処分費用がいくらなのかわかりません。適正な運搬費用、処分費用となっているのでしょうか?いくら割安だからといっても支払った料金から運搬費を差し引いたら、適正に処分する処分費が足りないような金額だったらどうなるでしょうか?処分業者に持っていくお金がないのですから、「闇にまぎれて誰もいない山の中に不法投棄」などとなってしまっては取り返しがつきません。このようなことにならないためにも、運搬業者には適正に運搬してもらうことに対しての運搬費用を支払い、処分業者には適正に処分してもらうことに対しての処分費用を支払うようそろぞれと契約を結んでください。

 

Q15 

産業廃棄物の処理を人に頼むとお金がかかるので、機械を買って自分で処理しようと思うのですが?

 

A15 

自分で出した廃棄物を自分で処理することは良い事ですが、ここで気をつけなければならないのが、廃棄物処理基準に従って適正に処理しなければならないということです。また、設置する機械によっては、あらかじめ設置許可を受けなければならないものもあります。

 

Q16 

産業廃棄物をリサイクルしてくれる業者がいます。その業者は産業廃棄物処理業の許可を取得していませんが、リサイクルなのだから許可は要らないといっています。その業者にお願いしても大丈夫ですか?

 

A16 

技術革新も目覚しく、今まで埋立処分しかできなかった廃棄物を資源に生まれ変わらせる設備も増えてきました。ですが、こうしたリサイクル施設も廃棄物を受け入れて処理していることには変わりがないのです。よって、廃棄物をリサイクルするとは言っても、その業者は産業廃棄物処理業の許可が必要なのです。いくら最終的にはリサイクル資源になるとはいえ、廃棄物を処理する以上、廃棄物処理法に基づく手続きは必要です。廃棄物処理基準を遵守し、生活環境を保全しながら適正にリサイクルができる許可業者に委託するようにしてください。