【11】相続税の申告要否チェックリスト


1.法定相続人の数と基礎控除額のチェック

 

法定相続人の数を確認して、基礎控除額を計算します。

 

【1】法定相続人の確認

 

(1)被相続人(亡くなられた方)に配偶者がいるか?

 

⇒被相続人の配偶者(夫または妻)は、常に相続人となります。

 

(2)被相続人(亡くなられた方)に子供はいるか?

(3)被相続人(亡くなられた方)に父母(養父母)がいるか?

(4)被相続人(亡くなられた方)に兄弟姉妹がいるか?

 

⇒子供がいる場合は、父母や兄弟姉妹は法定相続人に含まれません。

⇒子供がいない場合は、父母や兄弟姉妹が法定相続人となる可能性があります。 

 

 

【2】基礎控除額の確認

 

「基礎控除額(A)」を計算します。

 

【1】より 3000万円+600万円×法定相続人の数=(A)

 


2.相続財産と債務などのチェック

 

相続財産などの金額を計算します。

 

【1】相続財産と債務などの確認

 

(1) 土地、建物、有価証券、預貯金、現金などのほか、金銭に見積もることができる財産の価額

 

(2) 死亡に伴い支払われる生命保険金や退職金の金額

(一定の金額までは非課税です)

 

(3) 被相続人から生前に贈与を受けた財産の価額

(相続時精算課税適用財産・相続開始前3年以内に取得した暦年課税適用財産)

 

(4) 借入金などの債務、葬式費用

 

【2】課税価格の合計額の確認

 

「課税価格の合計額(B)」を計算します。

 

【1】より (1)+(2)+(3)-(4)=(B)

 


3.相続税申告の要否のチェック

 

「課税価格の合計額(B)」から「基礎控除額(A)」を差し引いた金額がプラスになる場合は、相続税の申告手続きが必要となる場合があります。

 

相続税には、小規模宅地等の特例や配偶者控除などがあり、申告手続きを行うことで適用を受けることができます。

 


4.相続税の計算の事例

 

例)「相続財産」の価額が8000万円、「債務・葬式費用」の合計額が1200万円、相続人は妻と子2人のケースで、妻と子2人が次のように相続財産を取得し、債務・葬式費用を負担したとします。

 

【1】相続財産の取得状況や債務・葬式費用の負担状況の確認

                       妻      子      子 

(1)相続財産              5000万円 1500万円 1500万円

 

(2)債務・葬式費用           1200万円   なし     なし

 

(3)課税価格(相続財産-債務・葬式費用)3800万円  1500万円  1500万円

 

【2】課税価格の合計額の計算

 

  「課税価格の合計額」

  3800万円 + 1500万円 + 1500万円 = 6800万円

 

【3】課税遺産総額の計算

 

  課税価格の合計額6800万円から、遺産にかかる基礎控除額を差し引きます。

 

 「基礎控除額」

  3000万円 + 600万円 × 3人 = 4800万円

 

 「課税遺産総額」

  6800万円 - 4800万円 = 2000万円

 

【4】相続税の総額の計算

 

(1)課税遺産総額2000万円を法定相続分で按分します。

 

妻(2分の1):1000万円 / 子(4分の1):500万円 / 子(4分の1):500万円

 

(2)按分したそれぞれの金額に税率をかけて税額を計算します。

 

相続税の速算表より、1000万円以下の区分の10%をかけます。

 

妻:100万円 / 子:50万円 / 子:50万円

 

(3)計算したそれぞれの税額を合計した200万円が相続税の総額になります。

 

【5】各人が納付すべき相続税額の計算

 

(1)相続税の総額200万円を、課税価格の合計額に占める各人の課税価格の割合で按分します。

 

  妻:112万円

 (200万円 × 3800万円 ÷ 6800万円 = 112万円)

 

  子44万円

 (200万円 × 1500万円 ÷ 6800万円 = 44万円)

 

  子44万円

 (200万円 × 1500万円 ÷ 6800万円 = 44万円)

 

(2)按分した税額から、配偶者控除等の各種税額控除の額を差し引きます。