★類似商号の禁止制度が廃止され、同時に類似商号登記の禁止制度も廃止されました。
商号は、基本的に自由に決めることができますが、注意点は下記の通りです。
■商号に用いることができる文字等の範囲
商号に用いる文字は、日本文字(漢字、ひらがな、カタカナ及び濁音、半濁音)、ローマ字、アラビア数字、その他の符号(法務大臣の指定するもの)でなければなりません。
■法令により使用が義務付けられている文字
前、後、中間のいずれかに「株式会社」等のの文字を付けます。
銀行・証券会社等の場合は、「銀行」・「証券」等の文字を付けます。
■公序良俗に反する商号
公序良俗に反する単語を用いた商号はもちろん登記できません。
■会社の支店又は一営業部門であることを示す文字
商号の末尾に、「支部」・「支社」・「支店」などの、支店であることや一営業部門であることを示す文字は使えません。
■法令により使用が制限されている名称・文字
信託業法・組合業法・保険業法・信用保証協会法・銀行法などで名称を使用することが禁止されている場合があります。
その数は約350あります。
■行政官庁と誤認されるおそれのある商号
商号選定の自由主義が採用されていますので、行政官庁名又はこれと紛らわしい名称を商号として使用することが公序良俗に反しない限り、自由に使用することができます。
■同一の所在場所における同一の商号の登記の禁止
類似商号規制が廃止されました。
同じ住所において、同一商号がある場合に限り、登記することができません。
【商号調査の必要性】
会社法の施行日後も、整備法による改正後の商業登記法の規定により同一場所における同一商号の登記は禁止されるので(整備法による改正後の商業登記法第27条)、同一本店所在地に同一の商号の会社があるかどうかを調査する必要はあります。
また、新会社法・不正競争防止法の規定により、不正目的の商号使用の差し止めや、損害賠償を請求されるおそれがありますので注意が必要です。
【商号調査の方法】
本店所在地を管轄する登記所(法務局)に行って、商号調査簿を閲覧し、同一住所に、使用したい商号が既に登記されていないかどうかを調べます。
●本店所在地を管轄する登記所(法務局)に行きます。
↓
●商号調査簿閲覧申請書を入手して、窓口に提出します。
↓
●商号調査簿を調べます(手数料は無料です)。
↓
●同一商号に該当する商号が、同一の所在場所に登記されていなければ、会社設立の手続きを進めます。
★平成14年11月1日に商業登記規則等が一部改正され、商号にローマ字を用いることができるようになりました。
■背景
従来、商業・法人登記においては、会社の商号(法人の名称)の登記にローマ字を用いることは出来ませんでしたが、社会経済の国際化、日本語表記の多様化等に伴い、一般に会社の商号を表記するのにローマ字が用いられるようになり、商号の登記についても、ローマ字を用いて表記したいと言う要望が増えてきました。
そこで、商号登記規則等の改正により、商号の登記について、ローマ字その他の符号を用いることが出来るようにしたものです。
■改正の内容
ア 商業登記規則等の一部改正について
商号登記について、ローマ字その他の符号で法務大臣が指定するものを用いることができるようになりました。
会社以外の法人の名称の登記についても同様です。
イ 商号の登記に用いることができる符号について
商号の登記に用いることができるローマ字その他の符号については、その範囲を明確にするため、法務大臣の告示により指定することとしています。
告示により指定された符号は次のとおりです。
(ア)ローマ字(大文字及び小文字)
(イ)アラビア文字
(ウ)「&」(アンパサンド)
「’」(アポストロフィー)
「,」(コンマ)
「-」(ハイフン)
「.」(ピリオド)
「・」(中点)
*(ウ)の符号は、字句(日本文字を含む)を区切る際の符号として使用する場合に限り用いることができます。
したがって、商号の先頭または末尾に用いることはできません。
ただし、「.」(ピリオド)については、省略を表すものとして商号の末尾に用いることもできます。
①改正省令の施行前から、定款上、商号にローマ字を用いている場合
従来から、定款で定める商号にローマ字を用いることは差し支えないとされていたため、定款上は商号中にローマ字を用い、登記上はその部分がカタカナで表記されている会社があります。
このような会社が登記上の商号にもローマ字を用いる場合には、登記の更正の申請をすることにより、商号を訂正することができます。
② ①以外の場合
定款上の商号が日本文字で表記されている会社が、ローマ字を用いることとしたい場合には、まず、会社の定款の変更が必要です。
定款の変更後に、商号の変更の登記を申請してください。
1.登記の申請時期等
Q1 ローマ字を用いた商号の登記は、いつから申請することができますか?
ローマ字を用いた商号の登記は、改正省令の施行日である平成14年11月1日以後に申請することができます。
Q2 ローマ字を用いた商号の定款の作成又は定款変更の決議は、いつからすることができますか?
従来からできたものであり、いつでもすることができます。
2.登記申請手続
Q3 現在、定款上の商号には、ローマ字を用いていませんが、どのような手続きをすれば、ローマ字商号を使えますか?
会社法の規定に従い定款の変更手続きをして商号を変更し、これに基づいて商号の変更の登記を申請することになります。
Q4 現在の定款では、既にローマ字を商号に使用し、登記上のみカタカナを使っているのですが、どのような登記の申請をすることになりますか?
定款上の商号にローマ字が用いられている場合には、登記の更正を申請してください。
Q5 登記の申請書には、どのような添付書面が必要ですか?
商号の変更の登記をする場合には、定款変更の手続きが必要です。
したがって、変更登記の申請書には、株式会社にあっては株主総会議事録(定款変更の決議があったことを証するもの)の添付が必要となります。
また、商号の更正を申請する場合には、申請書に現行の定款を添付してください。
Q6 法人の名称にもローマ字を使用できますか?
改正後の商業登記規則第51条の2は、法人登記規則等において準用されますので、会社以外の法人の名称中にローマ字を用いたものも、そのまま登記することができるようになります。
例えば、特定非営利活動法人がその名称を「NPO法人○○○」として登記することも可能です。
3.商号に用いる文字等
Q7 ローマ字と日本文字とを組み合わせた商号は認められますか?
「ABC東日本株式会社」や「大阪XYZ株式会社」のように、日本文字とローマ字との組み合わせは認められます。
Q8 ローマ字は、大文字又は小文字のいずれも使用できますか?
大文字、小文字とも使用することができます。
Q9 数字だけの商号も可能ですか?
例えば、「777株式会社」という商号も可能です。
Q10 ローマ字に振り仮名を付すことは可能ですか?
現在、登記上、漢字の商号についても振り仮名を付しておらず、ローマ字商号であっても振り仮名を付して登記することはできません。
Q11 「株式会社」を「K.K.」、「Company Incorporated」、「Co.,Inc.」、「Co.,Ltd.」等と表すことは、可能ですか?
法令により使用が義務付けられている文字、例えば、会社の場合は、会社の種類に従い株式会社等の文字を用いなければなりませんので、これらを「K.K.」等で表すことはできません。
Q12 英文の商号と日本文字による商号とを併記して登記すること(例「ABC Service Co.Ltd. エービーシーサービス株式会社」)はできますか?
また、ローマ字の読みを括弧書きで登記すること(例「ABC(エービーシー)株式会社」)はできますか?
いずれもできません。
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